(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)
第四十七条 内国法人(清算中のものを除く。以下この条において同じ。)が、各事業年度においてその有する固定資産(当該内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(第八項において「合併法人等」という。)とする適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項及び第八項において「適格組織再編成」という。)が行われている場合には、当該適格組織再編成に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(第八項において「被合併法人等」という。)の有していたものを含む。以下この条において「所有固定資産」という。)の滅失又は損壊により保険金、共済金又は損害賠償金で政令で定めるもの(以下第四十九条までにおいて「保険金等」という。)の支払を受け、当該事業年度においてその保険金等をもつてその滅失をした所有固定資産に代替する同一種類の固定資産(以下この条において「代替資産」という。)の取得(第六十四条の二第三項(リース取引に係る所得の金額の計算)に規定するリース取引のうち所有権が移転しないものとして政令で定めるものによる取得を除く。以下この項及び第五項において同じ。)をし、又はその損壊をした所有固定資産若しくは代替資産となるべき資産の改良をした場合において、これらの固定資産につき、その取得又は改良に充てた保険金等に係る差益金の額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
2 内国法人が、各事業年度において所有固定資産の滅失又は損壊による保険金等の支払に代わるべきものとして代替資産の交付を受けた場合において、その代替資産につき、その代替資産に係る差益金の額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
3 前二項の規定は、確定申告書にこれらの規定に規定する減額し又は経理した金額に相当する金額の損金算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。
4 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項又は第二項の規定を適用することができる。
5 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この条において「適格分割等」という。)により固定資産(当該適格分割等の日の属する事業年度開始の時から当該適格分割等の直前の時までの期間内に、所有固定資産の滅失若しくは損壊により保険金等の支払を受け、かつ、当該保険金等をもつて取得をした代替資産又は当該期間内に、当該滅失若しくは損壊により保険金等の支払を受け、かつ、当該保険金等をもつて改良をした損壊した所有固定資産若しくは代替資産となるべき資産に限る。以下この項において同じ。)を分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(次項において「分割承継法人等」という。)に移転する場合において、当該固定資産につき、第一項に規定する圧縮限度額に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を減額したときは、当該減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
6 内国法人が、適格分割等により代替資産(当該適格分割等の日の属する事業年度開始の時から当該適格分割等の直前の時までの期間内に所有固定資産の滅失又は損壊による保険金等の支払に代わるべきものとして交付を受けたものに限る。以下この項において同じ。)を分割承継法人等に移転する場合において、当該代替資産につき、第二項に規定する圧縮限度額に相当する金額の範囲内でその帳簿価額を減額したときは、当該減額した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
7 前二項の規定は、これらの規定に規定する内国法人が適格分割等の日以後二月以内にこれらの規定に規定する減額した金額に相当する金額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
8 合併法人等が適格組織再編成により被合併法人等において第一項、第二項、第五項又は第六項の規定の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合における当該固定資産の取得価額その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(保険差益等に係る特別勘定の金額の損金算入)
第四十八条 保険金等の支払を受ける内国法人(清算中のものを除く。以下この条において同じ。)が、その支払を受ける事業年度(被合併法人の合併(適格合併を除く。次項及び第三項において「非適格合併」という。)の日の前日の属する事業年度を除く。)終了の日の翌日から二年を経過した日の前日(災害その他やむを得ない事由により同日までに前条第一項に規定する代替資産の同項に規定する取得をすることが困難である場合には、政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長が指定した日(第六項及び第八項において「指定日」という。)とする。)までの期間内にその保険金等をもつて同条第一項に規定する取得又は改良をしようとする場合(当該内国法人が被合併法人となる適格合併を行い、かつ、当該適格合併に係る合併法人が当該取得又は改良をしようとする場合その他の政令で定める場合を含む。)において、当該取得又は改良に充てようとする保険金等に係る差益金の額として政令で定めるところにより計算した金額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において特別勘定を設ける方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
2 前項の特別勘定を設けている内国法人は、前条第一項に規定する代替資産の同項に規定する取得をした場合、当該内国法人が非適格合併により解散した場合その他の政令で定める場合には、その保険金等に係る特別勘定の金額のうち政令で定めるところにより計算した金額を取り崩さなければならない。
3 前項の規定により取り崩すべきこととなつた第一項の特別勘定の金額又は前項の規定に該当しないで取り崩した当該特別勘定の金額(第八項の規定により合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(第八項及び第十項において「合併法人等」という。)に引き継ぐこととされたものを除く。)は、それぞれその取り崩すべきこととなつた日(前項に規定する内国法人が非適格合併により解散した場合には、当該非適格合併の日の前日)又は取り崩した日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
4 第一項の規定は、確定申告書に同項に規定する経理した金額に相当する金額の損金算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。
5 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
6 内国法人が、適格分割又は適格現物出資(以下この条において「適格分割等」という。)を行い、かつ、当該適格分割等の日の属する事業年度開始の時から当該適格分割等の直前の時までの期間内に保険金等の支払を受けている場合(当該適格分割等の日から当該事業年度終了の日の翌日以後二年を経過した日の前日(指定日がある場合には、当該指定日)までの期間内に当該適格分割等に係る分割承継法人又は被現物出資法人(第八項第二号及び第九項において「分割承継法人等」という。)が当該保険金等をもつて前条第一項に規定する取得又は改良をすることが見込まれる場合に限る。)において、その取得又は改良に充てようとする保険金等に係る第一項に規定する計算した金額に相当する金額の範囲内で同項の特別勘定に相当するもの(以下この条において「期中特別勘定」という。)を設けたときは、その設けた期中特別勘定の金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
7 前項の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に期中特別勘定の金額に相当する金額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
8 内国法人が、適格合併、適格分割又は適格現物出資(以下この項において「適格合併等」という。)を行つた場合には、次の各号に掲げる適格合併等の区分に応じ、当該各号に定める特別勘定の金額又は期中特別勘定の金額は、当該適格合併等に係る合併法人等に引き継ぐものとする。
一 適格合併 当該適格合併の直前に有する保険金等に係る第一項の特別勘定の金額
二 適格分割等 当該適格分割等の直前に有する保険金等に係る第一項の特別勘定の金額のうち当該適格分割等に係る分割承継法人等が取得改良期間(当該適格分割等の日から当該適格分割等に係る分割法人又は現物出資法人の当該保険金等の支払を受けた事業年度終了の日の翌日以後二年を経過した日の前日(指定日がある場合には、当該指定日)までの期間をいう。)内に行うことが見込まれる前条第一項に規定する取得又は改良に充てようとする当該保険金等に係るもの及び当該適格分割等に際して設けた保険金等に係る期中特別勘定の金額
9 前項の規定は、第一項の特別勘定を設けている内国法人で適格分割等を行つたもの(当該特別勘定及び期中特別勘定の双方を設けている内国法人であつて、適格分割等により分割承継法人等に当該期中特別勘定の金額のみを引き継ぐものを除く。)にあつては、当該特別勘定を設けている内国法人が当該適格分割等の日以後二月以内に当該適格分割等により分割承継法人等に引き継ぐ当該特別勘定の金額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
10 第八項の規定により合併法人等が引継ぎを受けた第一項の特別勘定の金額又は期中特別勘定の金額は、当該合併法人等が同項の規定により設けている同項の特別勘定の金額とみなす。
11 合併、分割、現物出資又は現物分配(第二条第十二号の五の二(定義)に規定する現物分配をいう。)が行われた場合における前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(保険金等の範囲)
第八十四条 法第四十七条第一項(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)に規定する政令で定めるものは、保険金若しくは共済金(保険業法第二条第二項(定義)に規定する保険会社、同条第六項に規定する外国保険業者若しくは同条第十八項に規定する少額短期保険業者が支払う保険金又は次に掲げる法人が行う共済で固定資産について生じた損害を共済事故とするものに係る共済金に限る。)又は損害賠償金で、法第四十七条第一項に規定する滅失又は損壊のあつた日から三年以内に支払の確定したものとする。
一 農業協同組合法第十条第一項第十号(共済に関する施設)に掲げる事業を行う農業協同組合及び農業協同組合連合会
二 農業共済組合及び農業共済組合連合会
三 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第十一号(組合員の共済に関する事業)に掲げる事業を行う漁業協同組合及び同法第九十三条第一項第六号の二(組合員の共済に関する事業)に掲げる事業を行う水産加工業協同組合並びに共済水産業協同組合連合会
四 事業協同組合及び事業協同小組合(中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の二第七項(事業協同組合及び事業協同小組合)に規定する特定共済組合に限る。)並びに協同組合連合会(同法第九条の九第一項第三号(協同組合連合会)の事業を行う協同組合連合会及び同条第四項に規定する特定共済組合連合会に限る。)
五 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和三十二年法律第百六十四号)第八条第一項第十号(共済事業)に掲げる事業を行う生活衛生同業組合及び同法第五十四条第八号又は第九号(共済事業)に掲げる事業を行う生活衛生同業組合連合会
六 漁業共済組合及び漁業共済組合連合会
七 森林組合法(昭和五十三年法律第三十六号)第百一条第一項第十三号(共済に関する事業)に掲げる事業を行う森林組合連合会
(保険金等で取得した固定資産等についての圧縮記帳に代わる経理方法)
第八十六条 法第四十七条第一項及び第二項(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)、第四十八条第一項(保険差益等に係る特別勘定の金額の損金算入)並びに第四十九条第一項(特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)に規定する政令で定める方法は、これらの規定に規定する決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法とする。
(保険金等で取得した固定資産等の取得価額)
第八十七条の二 内国法人がその有する固定資産について法第四十七条第一項、第二項、第五項又は第六項(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)の規定の適用を受けた場合には、これらの規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額は、当該固定資産の取得価額に算入しない。
2 内国法人が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項において「被合併法人等」という。)において法第四十七条第一項、第二項、第五項又は第六項の規定の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合には、当該被合併法人等において当該固定資産の取得価額に算入されなかつた金額は、当該固定資産の取得価額に算入しない
(保険差益等に係る特別勘定への繰入限度額)
第八十九条 第八十五条(保険金等で取得した代替資産等の圧縮限度額)の規定は、法第四十八条第一項(保険差益等に係る特別勘定の金額の損金算入)に規定する政令で定めるところにより計算した金額の計算について準用する。この場合において、第八十五条第一項第二号中「取得又は改良に充てた保険金等」とあるのは、「取得又は改良に充てようとする保険金等」と読み替えるものとする
(保険差益等に係る特別勘定の金額の取崩し)
第九十条 法第四十八条第二項(保険差益等に係る特別勘定の金額の損金算入)に規定する政令で定める場合は、次の各号に掲げる場合とし、同項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、それぞれ当該各号に定める金額とする。
一 法第四十八条第一項に規定する取得又は改良に充てようとする保険金等の全部又は一部をもつて当該取得又は改良をした場合 当該取得又は改良に係る固定資産につき第九十一条(特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮限度額)の規定により計算した金額
二 法第四十九条第一項(特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)に規定する取得指定期間(以下この条において「取得指定期間」という。)を経過した日の前日において法第四十八条第二項に規定する特別勘定の金額(既に取り崩すべきこととなつたものを除く。以下この条において同じ。)を有している場合 当該特別勘定の金額
三 取得指定期間内に解散(合併による解散を除く。)をした場合において、特別勘定の金額を有しているとき。 当該特別勘定の金額
四 取得指定期間内に合併(適格合併を除く。)により解散した場合において、特別勘定の金額を有しているとき。 当該特別勘定の金額
(特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮限度額)
第九十一条 法第四十九条第一項(特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項に規定する取得又は改良をした日における同項に規定する特別勘定の金額のうち、同項の内国法人が支払を受ける法第四十七条第一項(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)に規定する保険金等(当該特別勘定の金額が法第四十八条第八項(保険差益等に係る特別勘定の金額の損金算入)の規定により法第四十七条第一項に規定する被合併法人等(以下この条において「被合併法人等」という。)から引継ぎを受けたものである場合には、当該被合併法人等が支払を受ける当該特別勘定の金額に係る当該保険金等。以下この条において「保険金等」という。)に係る第八十五条第二項(保険差益金の額の意義)に規定する保険差益金の額に第一号に掲げる金額のうちに第二号に掲げる金額の占める割合を乗じて計算した金額に相当する金額とする。
一 その保険金等の額からその保険金等に係る法第四十七条第一項に規定する所有固定資産の滅失又は損壊により支出する経費の額(当該所有固定資産が同項に規定する適格組織再編成(当該内国法人が同項に規定する合併法人等となるものに限る。)に係る被合併法人等の有していたものである場合には、当該被合併法人等が支出した当該経費の額を含むものとし、保険金等の支払を受けるとともに同項に規定する代替資産の交付を受ける場合には、当該支出する経費の額のうちその保険金等の額に対応する部分の金額とする。)を控除した金額
二 当該取得又は改良に充てた保険金等の額のうち、前号に掲げる金額(法第四十八条第一項の規定の適用を受けなかつた部分の金額及び同号の保険金等の一部を既に固定資産の取得又は改良に充てている場合には当該取得又は改良に要した金額を控除した金額)に達するまでの金額
(特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の取得価額)
第九十一条の二 内国法人がその有する固定資産について法第四十九条第一項又は第四項(特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)の規定の適用を受けた場合には、これらの規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額は、当該固定資産の取得価額に算入しない。
2 内国法人が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項において「被合併法人等」という。)において法第四十九条第一項又は第四項の規定の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合には、当該被合併法人等において当該固定資産の取得価額に算入されなかつた金額は、当該固定資産の取得価額に算入しない。
(圧縮記帳をした資産の帳簿価額)
第九十三条 法第四十二条、第四十四条から第四十七条まで、第四十九条又は第五十条(圧縮記帳)の規定の適用を受ける資産については、これらの規定の適用によりその帳簿価額が一円未満となるべき場合においても、その帳簿価額として一円以上の金額を付するものとする。
(保険金等の範囲)
10‐5‐1 法人が支払を受ける保険金、共済金又は損害賠償金(以下この節において「保険金等」という。)で法第47条第1項又は第5項((保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入))の規定の適用があるのは、同条第1項に規定する所有固定資産(以下この節において「所有固定資産」という。)の滅失又は損壊(以下この節において「滅失等」という。)に基因して受けるものに限られるのであるから、たとえ所有固定資産の滅失等に関連して支払を受けるものであっても、次に掲げるような保険金等についてはこれらの規定の適用がないことに留意する。
(1) 棚卸資産の滅失等により受ける保険金等
(2) 所有固定資産の滅失等に伴う休廃業等により減少し、又は生ずることとなる収益又は費用の補塡に充てるものとして支払を受ける保険金等
(圧縮記帳をする場合の滅失損の計上時期)
10‐5‐2 所有固定資産の滅失等があった場合において、その滅失等により支払を受ける保険金等の額につき法第47条から第49条まで《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等》の規定の適用を受けようとするときは、当該滅失等による損失の額(当該滅失等により支出した経費の額を含む。)は、保険金等の額を見積り計上する場合を除き、当該保険金等の額が確定するまでは仮勘定として損金の額に算入しないものとする。ただし、その支払を受ける保険金等が損害賠償金のみである場合には、この限りでない。
(注) 適格組織再編成に係る被合併法人等が有する固定資産の滅失等があった場合において、その滅失等により支払を受ける保険金等の額につき、当該適格組織再編成に係る合併法人等が法第47条から第49条までの規定の適用を受けようとするときの被合併法人等においても、同様とする
(同一種類かどうかの判定)
10‐5‐3 法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定の適用上、法人が取得等をした固定資産がその滅失等をした所有固定資産と同一種類の固定資産であるかどうかは、耐用年数省令別表第1に掲げる減価償却資産にあっては同表に掲げる種類の区分が同じであるかどうかにより、機械及び装置にあっては減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令(平成20年財務省令第32号)による改正前の耐用年数省令(以下10‐6‐7において「旧耐用年数省令」という。)別表第2に掲げる設備の種類の区分が同じであるか又は類似するものであるかどうかによる
(代替資産の範囲)
10‐5‐4 法第47条第1項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する代替資産は、所有固定資産が滅失等をしたことによりこれに代替するものとして取得等をされる固定資産に限られるのであるから、例えば滅失等のあった時において現に自己が建設、製作、製造又は改造中であった資産は代替資産に該当しないことに留意する。
(滅失等により支出した経費の範囲)
10‐5‐5 令第85条第1項第1号《保険金等の額》に規定する「所有固定資産の滅失又は損壊により支出する経費」には、その滅失等があった所有固定資産の取壊し費、焼跡の整理費、消防費等のように当該所有固定資産の滅失等に直接関連して支出される経費が含まれるが、類焼者に対する賠償金、けが人への見舞金、被災者への弔慰金等のように当該所有固定資産の滅失等に直接関連しない経費はこれに含まれないものとする。
(2以上の種類の資産の滅失等により支出した共通経費)
10‐5‐6 例えば工場用建物と機械設備が滅失等をした場合のように2以上の所有固定資産が滅失等をした場合において、これらの資産の滅失等により支出した共通の経費があるときは、その共通の経費の額については、保険金等の額の比その他合理的な基準によりこれらの資産に配賦するものとする。
(所有固定資産の滅失等により支出した経費の見積り)
10‐5‐7 法人が所有固定資産の滅失等により保険金等の支払を受けた場合において、まだ焼跡の整理に着手していない等のため当該所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額が確定していないときは、その経費の額を見積って令第85条第1項第1号《保険金等の額》の金額を計算し、当該所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額が確定した場合に、その額が確定した日の属する事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)においてその確定した経費の額により調整する。
(注) 本文の取扱いにより所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額を見積って圧縮記帳の規定の適用をした固定資産を適格組織再編成により移転した場合には、当該固定資産の移転を受けた合併法人等においてその経費の額が確定したときに、その額が確定した日の属する事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)でその確定した経費の額により調整する
(先行取得した代替資産等についての圧縮額の損金算入)
10‐5‐8 法人が保険金等の額が確定する前にその滅失等をした所有固定資産に係る代替資産の取得等をした場合において、当該代替資産につきその保険金等の額が確定した日の属する事業年度において法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定を適用するときは、その圧縮限度額は、令第85条第1項《保険金等で取得した代替資産等の圧縮限度額》の規定にかかわらず、次の算式により計算した金額とする。
(算式)
同項の規定により計算した圧縮限度額
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×
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圧縮額の損金算入をしようとする時における固定資産の帳簿価額(改良した固定資産については、その改良に係る部分の帳簿価額)
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取得等をした固定資産のその取得等に要した金額
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代替資産の圧縮限度額 =
保険差益金の額 ×
代替資産の取得等に充てた保険金等の額÷
(保険金等の額 -滅失等による 支出経費の額)
その保険金等の額から
その保険金等に係る所有固定資産の滅失等により支出する経費の額
(保険金等の支払を受けるとともに保険金等の支払に代わるべきものとして代替資産の交付を受ける場 合には、
当該支出する経費の額のうちその保険金等の額に対応する部分の金額とする。)を控除した金額
《国庫補助金等に係る特別勘定の金額の損金算入等》に規定する特別勘定の経理は、積立金として積み立てる方法のほか、仮受金等として経理する方法によることもできるものとする。
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圧縮記帳による圧縮額を積立金として経理している資産につき除却、廃棄、滅失又は譲渡(以下10‐1‐2において「除却等」という。)があった場合には、当該積立金の額(当該資産の一部につき除却等があった場合には、その除却等があった部分に係る金額)を取り崩してその除却等のあった日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(注) 当該譲渡には、適格分社型分割、適格現物出資又は適格現物分配による資産の移転は含まれないのであるから留意する。
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圧縮記帳による圧縮額を積立金として経理している法人が当該積立金の額の全部又は一部を取り崩して益金の額に算入した場合において、その取り崩した積立金の設定の基礎となった資産に係る償却超過額又は評価損の否認金(当該事業年度において生じた償却超過額又は評価損の否認金を含む。)があるときは、その償却超過額又は評価損の否認金の額のうち益金の額に算入した積立金の額に達するまでの金額は、当該事業年度の損金の額に算入する。
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合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人をいう。以下この章において同じ。)が適格組織再編成(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配をいう。以下この章において同じ。)により被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人をいう。以下この章において同じ。)において圧縮記帳の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合には、当該固定資産に係る積立金の金額の引継ぎを受けたかどうかにかかわらず、当該被合併法人等において当該固定資産の取得価額に算入されなかった金額は、当該固定資産の取得価額に算入されないことに留意する。
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(特別勘定の経理)
10‐1‐1 法第43条及び第48条《国庫補助金等に係る特別勘定の金額の損金算入等》に規定する特別勘定の経理は、積立金として積み立てる方法のほか、仮受金等として経理する方法によることもできるものとする。
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(資産につき除却等があった場合の積立金の取崩し)
10‐1‐2 圧縮記帳による圧縮額を積立金として経理している資産につき除却、廃棄、滅失又は譲渡(以下10‐1‐2において「除却等」という。)があった場合には、当該積立金の額(当該資産の一部につき除却等があった場合には、その除却等があった部分に係る金額)を取り崩してその除却等のあった日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(注) 当該譲渡には、適格分社型分割、適格現物出資又は適格現物分配による資産の移転は含まれないのであるから留意する。
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(積立金の任意取崩しの場合の償却超過額等の処理)
10‐1‐3 圧縮記帳による圧縮額を積立金として経理している法人が当該積立金の額の全部又は一部を取り崩して益金の額に算入した場合において、その取り崩した積立金の設定の基礎となった資産に係る償却超過額又は評価損の否認金(当該事業年度において生じた償却超過額又は評価損の否認金を含む。)があるときは、その償却超過額又は評価損の否認金の額のうち益金の額に算入した積立金の額に達するまでの金額は、当該事業年度の損金の額に算入する。
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